読書状態: | 読み終わった | 期限日: | |
カテゴリ: | 地域社会 | 購入費: | 950 円 |
テーマ: | 未分類 | 入手日: | - |
タグ: | 読了日: | 2014/09/23 | |
公開度: | 公開 | 評価: | |
■ 蔵書メモ
限界集落論がどのように生まれ流布してきたかの解説、筆者自身の広範かつ精力的なフィールドワーク、日本の人口動態のマクロな分析、現実には高齢化のために消滅した集落などなかった等、興味深い分析が次々と続く。「人口増加地帯は、人口を吸収するだけで、子どもを生む力の極端に弱い場」(267頁)という指摘は重要。また、「過疎地に暮らすお年寄りたちは決して孤独ではない。むしろ、その子供たちはもとの集落からほどよい距離にいて、頻繁に通っており、また後々には帰るつもりにしていることが多い。ふるさとから遠くに出て行ってしまった子供ですら、決して帰還をあきらめているわけではない」(182頁)は、なるほどと思う。細かいところでは、「残っている空き家も、結局は仏壇などがまだあって利用されているので、流入人口を受け入れる受け皿にはなっていない」(61頁)という部分。
とても勉強になる本だが、どうしてもついていけないのは、「しばしば言われるように、日本の社会においては、欧米社会に比べて個の主体性が弱い分、個人より集団=社会的単位が主体性の源泉になってきた。日本では、どうも本来、個人よりも、こうした集団の方が重要なのだ。集団を通じることによってのみ、主体となりうると言うべきかもしれない」(253頁)の部分。自分より若くて有能な社会学者が、さらっとこういうことを書いてしまうことの恐怖。事実の観察としては確かにそうなのだろうけど、だから日本社会は生きづらい。
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