読書状態: | 読み終わった | 期限日: | |
カテゴリ: | 博物館学 | 購入費: | 0 円 |
テーマ: | 植物園 | 入手日: | - |
タグ: | 読了日: | 2014/02/02 | |
公開度: | 公開 | 評価: | |
■ 蔵書メモ
京都府立植物園(大典記念京都植物園)初代園長であった郡場寛のことを調べていて、古書で本書を入手した。郡場寛の名前は昭南博物館(ラッフルズ・ミュージアム)関係で知っていたが、思いがけない本を手に取ったもので、最後まで飽きずに読み通した。今読むと、不思議な時空間に迷い込むようで、敗戦後間もない時期の京大植物学教室の様子を垣間見ることが出来る。
ともかく食糧難で、本書編集の意図とは全く別の観点から読むと、何をどのように食べるか、の話題が満載である。みな、おなかが空きすぎている。「1947年前半の京都の大学の予算は1億円を越すが、その大部分は人件費で、研究費は6%にすぎぬ。それなのに学内では’増産農園’を禁じ、不必要な芝を復活しようとしている」(119頁)(芋か何かを構内で作って食べていたのだろうか?)
計画停電も行われ、ガスも1947年6月でも、やっと午後だけ出るという状態だったようだ。
広島、長崎での調査の話もあり、「原子爆弾による植物被害」として写真が掲載されている。
生物学的観点から、現代に本書がどのような意味を持つのかは、私には全く分からないが、敗戦直後の植物学者たちの日常や言動を伝える貴重な資料であり、また福島での原発事故を経た今日、妙になまなましさを感じる本でもある。
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