読書状態: | 読み終わった | 期限日: | |
カテゴリ: | 教育 | 購入費: | 799 円 |
テーマ: | アメリカ | 入手日: | 2014/10/20 |
タグ: | 読了日: | 2014/10/23 | |
公開度: | 公開 | 評価: | |
■ 蔵書メモ
あまりに気になる内容なので、ルポ第二弾も一気に読んだ。民間金融機関のローンを政府が再保証する学資ローン(サリーメイ)は完全国営だったはずが、1995年には民営化、学生たちに直接ローンを貸し、全米の各大学に多額の寄附を行い、多額の献金やロビー活動で議会に圧力をかける。保証会社や債券回収機構など学資ローン関連事業すべてを傘下に収め、独占企業化した。消費者保護法からも除外された学資ローンは延滞も一切の免除もなく、延滞利子が膨れ上がる仕組みで、執拗かつ脅迫的な取り立てが行われる。
GM社に代表される企業年金と医療保険の崩壊により、老後の人生設計が狂う老人たち。オバマは、高額な医療費支出の削減と新たな公的保険による無保険者の解消を目指すが、現制度から莫大な利益を得ている医療保険業界と製薬会社が、多額の献金を通じてホワイトハウスを支配しているため、医療保険改革はとん挫する。NPOの医療従事者たちによる無料診療に1,500人もの人が行列を作り、教会が借り上げた競技場の長椅子にズラリと並んで診察を受けるさまは、先進国とは思えない異様な光景である。多額の医療費請求が払えずに中流の人たちさえ破産していく。
極めつけは、最終章の「刑務所という名の巨大市場」。アメリカでは逮捕された日から法定手数料300ドル、囚人基金の積み立て金25ドルを取られる一方で、刑務所での労働対価は時給40セント。部屋代、医療費、食費、トイレットペーパー、歯磨き粉、図書館の利用料まで負担させられ、借金漬けにされる。1990年代に刑務所は民営化され、第三世界より安い賃金で働かせられるため、電話交換オペレーターやPCのリサイクル業務などが囚人たちにアウトソーシングされている。刑務所の土地と建物を所有してテナントに賃貸する投資信託はローリスク・ハイリターン投資信託として人気を呼んでいるという。
ホームレスは犯罪者として取り締まられ、「炊き出し禁止令」を出した州も。ここまで来ると、アメリカはもうクレージーとしか言いようがない。他の人たちを食い物にして富を蓄えて、それで人間としての心が痛まないのだろうか。アメリカの医師や看護師たちが、単一支払皆保険制度を望んでいることが、せめてもの、救いだろうか。本書に書かれていることが真実だとしたら、日本は決してアメリカの真似をしてはならない。
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