読書状態: | 読み終わった | 期限日: | |
カテゴリ: | 教育 | 購入費: | 756 円 |
テーマ: | アメリカ | 入手日: | 2014/10/20 |
タグ: | 読了日: | 2014/10/22 | |
公開度: | 公開 | 評価: | |
■ 蔵書メモ
書かれている内容が恐ろし過ぎて、一気に読まずにはいられなかった。恥ずかしながらサブプライムローンが社会的信用度の低い層向け住宅ローンだったことを初めて知ったし、フードスタンプや無料-割引給食プログラムの実態についても、肥満をもたらすという面からの問題点を知ることが出来た。ハリケーン・カトリーナ災害後の貧困地域「削除」問題(スラムクリアランスと言ってよいだろう)、NAFTA(北米自由貿易協定)によってアメリカ産トウモロコシに市場を奪われ、農地を手放し、アメリカに密入国する道を選んだメキシコ人たち、移民や貧困層をターゲットにした軍へのリクルート、民営化され営業ノルマに支配される病院。
元病院経営者が語る次の言葉は重い。「目標を達成した経営者には高額のボーナスが支払われる代わりに、達成できなければ職を追われるシステムが、生き残るという目標以外には何も考えられなくするからです」(84-85頁) この言葉は、まさに今、私たちの周りに生起している事態ではないか。「高額の」ではないにせよ。
本書の後半は、大学への進学費用や奨学金ローンの肩代わりを誘い文句として高校生やコミュニティカレッジの学生たち、大学を出ても就職出来ない若者たちを軍にリクルートするシステムの紹介、陸軍が開発したオンラインゲーム「アメリカズ・アーミー」を無料でダウンロードするとユーザー登録から情報が軍に流れる仕組みなどが紹介されている。極めつけは、戦争自体が民営化され、貧困ビジネスとして世界の貧困地域から労働者が集められているという話。
ここに書かれた話はある側面から切り取ったアメリカ社会の姿だと思うし、その当否を確かめる能力は自分にはないが、コラム4に書かれている「無知な羊みたいにだまされるな、メディアは国が所有しているとは限らない。ニュースは必ず出所をチェックしろと教えたはずだ」(142-143頁)という著者の恩師(国際関係論学のブロード教授)の言葉は重い。
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この8月に約1ヶ月アメリカ各地のダウンタウンに滞在して、ヒスパニック系移民の多さ、貧富の差、炊き出しに並ぶ人たちの姿を見て、そしてアメリカの食料事情のひどさ(まともな食事は恐ろしく高い)、低賃金で働く人たちの生活を支えるためのチップの額に毎日頭を悩ませたことなどが、この本を遅ればせながら読むきっかけとなった。
目次
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